更新日:2022-06-12
『登記簿を見たら勝手に相続人名義に登記がされている』
『競売を申し立てる前提で債務者が死亡している場合はどうすればいい?』
『代位による相続登記について詳しく知りたい』
この記事はそのような方向けに書いています。
こんにちは、司法書士の樋口です。
私は東京都新宿区に本社を構える司法書士法人リーガル・ソリューションの代表司法書士で、相続、不動産登記、不動産に関する訴訟手続きをメインに取り扱っています。
登記名義人が亡くなっており、相続人の関与なしで相続人名義に登記されるケースは大きく分けて2つあり、他の相続人が保存行為で相続登記を申請する場合と、債権者が代位して相続登記を申請する場合です。
この記事では、代位による不動産登記の基本的な事項から、後者の債権者が代位して登記申請する場合、代位による相続登記後の解消方法についても図解を交えて詳しく解説しています。
債権者代位による相続登記手続きを検討している方の参考になると思いますので、よろしければ最後までご覧ください。
相続登記の全体について詳しく知りたい方は『相続登記とは?亡くなった人の不動産の名義変更について法改正点も含め解説』をご覧ください。
この記事で分かること
代位登記とは?
代位登記とは、本来であれば登記を申請することができる人に代わって、第三者が行う登記手続きのことをいいます。
登記は、法務局に対する手続きの依頼があって初めて開始されるのが原則です。
一般の個人や法人からの依頼を「申請」、国・地方公共団体・裁判所などの官公署からの依頼を「嘱託」といいます。
登記を依頼することができるのは、原則として登記権利者や登記義務者(当事者)に限られます。
ただし、例外的に当事者以外の人が依頼することができる場合があり、代位登記もその一つです。
例えば、AB間で不動産の売買がされた場合には、AからBへの所有権移転登記を、AとBとが共同して申請するのが原則です。
ここで、Bの債権者Cが一定の条件を満たした場合には、AからBへの所有権移転登記を、AとCとで共同して手続きをすることができます。
代位登記がされたときは、当事者ではないCが申請人になったことを示すため、「代位者」と「代位原因」も登記簿に記録されます。
(代位で登記がされた場合の例)
なお、登記の手続きは司法書士が受任することも多いですが、この場合の申請は「代位」ではなく「代理」で行います。
代理人は申請人にはならないため、登記簿に司法書士の住所氏名が記録されることはありません。
(代理で登記がされた場合の例)
代位登記が行われるのは、次の㋐㋑の場合がほとんどです。
㋐債権者代位権(民法423条)を根拠に、差押えや仮差押えの前提としてされる場合
㋑土地区画整理事業、換地事業、土地改良事業などの際にされる場合
実務上は㋑の件数が多いのですが、本稿では㋐の場合の手続きについて解説をしていきます。
債権者代位権を行使出来る要件
債権者代位とは、債務者が自分の権利を放置しているときに、債権者が代わりにその権利を行使することができるという制度です。
将来の強制執行の準備のために、差押えの対象となる債務者の財産を確保し、債権者を守る目的で規定されました。
例えば、BはCからお金を借りていますが、手持ちの財産だけでは返済できない状態だったとします。
その一方で、BはAに対してお金を貸しており、この貸金の返済を請求せずに放置しています。
この場合、Cは、いくつかの条件を満たしたときは、BのAに対する貸金債権をBの代わりに行使し、Aに返済を求めることができます。
Aから支払いを受けることによりBの財産が増えますので、その分だけ、CがBに貸したお金を回収することができる可能性も高まります。
CがBに代わって行使した、BのAに対する貸金債権を「被代位権利」といいます。
また、Cを「代位者」、Bを「被代位者」、CのBに対する権利を「被保全権利」、差し押さえの対象となりうる債務者の財産を「責任財産」と呼ぶことが一般的です。
債権者代位の制度は、強制執行の準備のために債務者の責任財産を保全することを目的としていますので、本来は、被保全権利は金銭債権であることが想定されています。
ただし、登記(登録)手続請求権を保全するためにも、債権者代位権を行使することが認められています(民法423条の7)。
例えば、BがAから戸建てを購入し、その後Cに売ったものの、Bが登記手続きをしないため、登記簿上の所有者はAのままになっているようなケースです。
この場合、Cが登記名義人となるためには、①AからBへの所有権移転登記と、②BからCへの所有権移転登記の、2件の申請が必要になります。
Cは、第二売買の売主Bに対しては、②の手続きに協力するよう求めることができるものの、直接関与していない①については、請求をすることができません。
そこでCは、Bに対する登記手続請求権を保全するため、BのAに対する登記手続請求権を代位行使し、Aと共同して、①AからBへの所有権移転登記を申請することができます。
債権者代位権を行使するための要件は、被保全権利が金銭債権か登記(登録)手続請求権かによって違ってきます。
被保全権利 | 要件 |
金銭債権
|
|
登記(登録)手続請求権 | 法律では特に規定されていない。 解釈上、少なくとも、債務者が無資力であることは要件ではないとされている。 |
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財産をどのように管理・処分するかは、債務者自身の判断に委ねられるべきものですので、限られた状況でのみ、代位行使が許されると考えられています。
そのため、債権者代位の制度が本来想定している金銭債権については、上記の①から③の要件を満たす必要があります。
他方、被保全権利が登記(登録)手続請求権の場合には、不動産などの所有権はすでに債権者が持っており、単に登記や登録の手続きが済んでいないというだけです。
この場合に債権者代位権を行使したとしても、責任財産が増減することはないため、債務者の財産への干渉にはなりません。
そのため、金銭債権の場合よりも緩やかな要件で行使することができるとされています。
債務者が無資力であること
債権者の代位行使が認められるのは、債務者の責任財産が不十分となって、「自己の債権を保全する必要があるとき」(民法423条)に限られます。
ここでいう「自己の債権を保全する必要があるとき」というのは、債務者の責任財産が、返済をするのに不十分な場合(債務者に資力がない場合)です。
具体的には、債務者に全く返済能力がないときや、強制執行や差押さえの手続きが開始したときなどをいうとされています。
被保全債権の弁済期が到来しており、債務者が権利行使に着手していないこと
債務者の財産への干渉は必要最小限にとどめるべきですので、債務者がすでにその権利を行使しているときは、債権者が重ねて代位行使することはできません。
ただし、債務者の財産の現状を維持する行為(保存行為)については、不当な干渉とはならないため、行使が認められています。
時効の完成を止める、未登記の権利を登記する、などの行為が保存行為にあたります。
被代位権利が代位により権利行使しても問題のない性質のものであること
次のような権利は、代位行使をすることができません。
権利の性質上、特定の人のみが行使することができる権利 | ・親権 ・婚姻・離婚・縁組の取消権 ・離縁請求権 ・離婚による財産分与請求権(未確定のもの) |
差押えをすることができない権利 | ・給料・賃金・退職金等(4分の1相当) ・年金受給権 ・生活保護受給権 |
強制執行をしても実現することのできない権利 | ・破産免責の手続きによって免責された債権 ・不執行の合意がある債権 |
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勝手に代位による相続登記がなされるケース
債権者代位権は、事前に債務者に伝えることなく行使することができますので、相続人が知らないうちに相続登記がされてしまうこともあります。
代位により相続登記がされるのは、㋐登記名義人(被相続人)が債務者である場合と、㋑相続人が債務者である場合とがあります。
㋐債務者が登記名義人(被相続人)の場合
まず、代位により、法定相続分どおりの持分で、共同相続の登記が入れられます。
債権者は、法定相続人全員の持分に対して差押えを行うことができます。
㋑債務者が相続人の場合
㋐の場合と同じく、まずは法定相続分による登記がなされます。
ただし、債権者が差し押さえることができるのは、債務者である法定相続人の持分に限られます。
以下、代位による相続登記がされるケースをいくつか挙げます。
競売
競売には、大きく分けて強制競売と担保不動産競売とがあります。
強制競売 | 担保権(抵当権など)を持っていない債権者が行う 例:確定判決や和解調書などで債権があると認められた人が、 そのお金を回収するために申し立てる場合 |
担保不動産競売 | 担保権(抵当権など)を持っている債権者が行う 例:住宅ローンの滞納があったときに、銀行が残債務を回収するために申し立てる場合 |
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裁判所は、競売の開始決定をした場合には、不動産の差押え登記を嘱託します。
ここで、不動産の登記名義人が亡くなっている場合には、差し押さえの前提として、相続登記を入れる必要があります。
競売される不動産の相続登記に、相続人が協力してくれることはあまりありませんので、通常は、債権者が代位して登記手続きを行うことになります。
具体的な手続きの方法については、「代位による相続登記の申請書」のところで解説します。
行政機関
税金や保険料を滞納している人がいる場合には、行政機関は、滞納処分として、その人の財産を差し押さえることができます。
行政機関が代位者となる場合には、前提となる相続登記だけでなく、差押えの登記についても、裁判所を通さずに嘱託することができます。
移転登記請求訴訟
例えば、登記名義人Aが死亡し、相続人Bが不動産を相続してCに売却したが、登記簿上の所有者はAのままになっているとします。
この場合、Cは、Bに対して有する所有権移転登記手続請求権を保全するため、代位により、AからBへの相続による所有権移転登記を申請することができます。
なお、BがCへの登記手続きに協力しない場合には、Cは訴訟を提起して移転登記手続を求めることになります。
訴訟になったときは、Cの請求権を保全するため、処分禁止の仮処分の申し立ても行うことがあります。
処分禁止の仮処分とは、債務者が訴訟中に第三者に不動産を売却したりしないよう、不動産の処分を禁止する措置です。
これが認められると、処分禁止の登記がされるため、第三者に登記名義が移されたとしても、債権者が訴訟で勝訴した場合には、第三者への移転登記を抹消することができます。
代位による相続登記のデメリット
代位による相続登記の留意点としては、次の2点が挙げられます。
- 法定相続分どおりに登記される
- 登記識別情報が通知されない
法定相続分通りに登記される
相続人が申請する場合には、特定の人の単独名義としたり、法定相続分とは違う割合で持分を登記したりすることができます。
一方、代位登記の場合には、相続人全員が、法定相続分と同じ割合で持分を持つことになります。
相続放棄をした人がいても、遺産分割協議が済んでいても、特定の相続人を除外して登記することは、原則としてできません。
関連記事:法定相続分による相続登記の流れ|保存行為で単独申請する場合についても解説
登記識別情報が発行されない
通常の相続登記の場合には、手続きが終わると、法務局から相続人に対し、登記完了証と登記識別情報通知が発行されます。
債権者 | 相続人 | ||
登記完了証 | ・登記手続きが終わったことを知らせる書類で、何かの手続きに使うことはない ・登記の申請人に対して交付される |
〇 | × |
登記識別情報 | ・いわゆる権利証で、売却したり抵当権を設定したりするときに必要となる ・登記の申請人自らが登記名義人となる場合に、申請した人に対して通知される |
× | × |
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(〇:交付・通知される ×:交付・通知されない)
一方、代位登記の場合には、相続人には登記完了証も登記識別情報通知も発行されません。
どちらも申請人に対して交付・通知されるものですが、代位登記を申請したのは債権者であって、相続人ではないためです。
特に登記識別情報は、従来の登記済権利証にあたる大事なものです。
これが通知されていないと、その後に売却や遺産分割による登記手続きをする際に、手間や費用がかかってしまいます。
なお、登記完了証という形ではありませんが、各相続人に対し、郵便などの方法により、登記が完了した旨が通知されます。
代位による相続登記の解消方法
先ほども記載したように、代位による相続登記は、法定相続分どおりに登記されます。
そのため、相続放棄や遺産分割などにより、法定相続分とは異なる割合で取得することになった場合には、実態と登記簿が合わなくなってしまいます。
このようなときに、登記簿と実態を一致させる方法としては、更正登記、抹消登記、移転登記などがあります。
どの方法を取るかは、代位登記がいつされたか、誰が相続放棄等をしたか、などによって変わってきます。
更正登記
【事例-代位登記の前に、相続人のうちの一部の人が相続放棄をしていた場合】
登記名義人Aが死亡した。
Aの相続人はBCの2名である。
Cの債権者Dにより法定相続分による登記がされたが、それより前に、Cが相続放棄をしていたことが判明した。
登記手続き | 申請人 | 代位者の承諾書の添付 |
Bの単独名義とする所有権更正登記 | BC | 必要 |
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【事例-代位登記の後に、相続放棄がされた場合】
登記名義人Aが死亡した。
Aの第一順位の相続人はBCの2名、第二順位の相続人はD1名である。
Cの債権者Eにより法定相続分による登記がされたが、その後、BとCが相続放棄をした。
登記手続き | 申請人 | 代位者の承諾書の添付 |
BCからDへの持分全部移転登記 | BCD | 不要 |
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遺産分割協議
【事例-代位登記の後に、遺産分割がされた場合】
登記名義人Aが死亡した。
Aの相続人はBCの2名である。
Cの債権者Dにより法定相続分による登記がされたが、その後、遺産分割協議が成立し、Cが不動産を取得することになった。
登記手続き | 申請人 | 代位者の承諾書の添付 |
BからCへの持分全部移転登記 | BC | 不要 |
(スマホでは右にスクロールできます)
代位による相続登記は差押えの前提としてされることが多いですが、差し押さえられている不動産であっても、遺産分割協議の対象とすること自体は問題ありません。
事例の場合には、持分を失うBを義務者、持分が増えるCを権利者として、遺産分割を原因とする持分移転登記手続きをします。
関連記事:やり直し出来る?遺産分割による相続登記(不動産の名義変更)について解説
ただし、この手続きの際には、義務者であるBの登記識別情報を提供しなければなりません。
Bには登記識別情報が通知されていないため、登記申請の際には、司法書士による本人確認情報の作成が必要になります。
なお、法定相続分による相続登記のあとに遺産分割がされた場合の手続きについては、相続登記が義務化されることに伴い、取扱いが変更される可能性があります。
関連記事:相続登記が義務化|義務化された背景やその他の改正についても解説
本稿執筆時点では、持分移転登記を共同で手続きをすることとされていますが、今後、登記権利者が単独で更正登記を申請することができるようになる見通しです。
所有権抹消
【事例-代位登記の前に、第一順位の相続人全員が相続放棄をしていた場合】
登記名義人Aが死亡した。
Aの第一順位の相続人はBCの2名、第二順位の相続人はD1名である。
Cの債権者Eにより法定相続分による登記がされたが、それより前に、BとCが相続放棄をしていたことが判明した。
登記手続き | 申請人 | 代位者の承諾書の添付 |
㋐AからBCへの所有権移転登記の抹消 | BCD | 必要 |
㋑AからDへの相続による所有権移転登記 | D | 不要 |
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所有権の抹消登記を申請する際、登記上の利害関係を持つ人がいる場合には、その人の承諾を得る必要があります。
登記上の利害関係人とは、申請人以外で、ある登記がされることにより不利益を受けることが明らかな人のことをいいます。
不利益を受けるかどうかは、登記記録を見て形式的に判断されます。
法定相続による登記が抹消されると、そこに記載されている代位者の氏名なども消されますので、代位者は登記上の利害関係人にあたります。
そのため、所有権抹消登記の添付書面として、代位者の承諾書も提出しなければなりません。
代位による相続登記の申請書
【事例】
CはAに対しお金を貸し、その担保としてAが所有する不動産に抵当権を設定した。
Aが約束どおりに返済しなかったため、Aの財産を差し押さえようと考えていたところ、Aが死亡したことを知った。
Aの相続人はB1名のみで、不動産の登記名義はAのままになっている。
この場合、差押えの手続きは、次のような流れで行われます。
①裁判所に対し、競売の申立てをします。
申立ての際には、相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡まですべての戸籍、相続人の戸籍なども必要になります。
➁裁判所が審査を行い、不備がなければ申立てが受理されます。
申立てが受理された場合には、裁判所から債権者に対し、競売申立受理証明書と、相続登記に必要な戸籍一式が渡されます。
なお、競売申立受理証明書を発行してもらうためには、債権者から裁判所に対し、交付の請求をする必要があります。
③債権者は、戸籍一式を登記原因証明情報、競売申立受理証明書を代位原因証明情報として添付し、相続登記を代位で申請します。
戸籍や競売申立受理証明書は、申請の際に還付手続きをしておけば、登記の完了後に原本を返してもらうことができます。
④登記が完了したら、戸籍や競売申立受理証明書を受け取ります。
また、法務局で、相続登記が終わった後の全部事項証明書を取得します。
⑤債権者から裁判所に対し、戸籍、競売申立受理証明書、全部事項証明書などを提出します。
⑥裁判所が、競売の開始決定をします。
⑦競売による差押えの登記は、裁判所が法務局に嘱託して行われます。
下の図は、③で申請する相続登記の申請書の記載例です。
※1 登記の原因
登記名義人Aから相続人Bへと、不動産の所有権が移転した理由を記載します。
今回はAの死亡による相続登記ですので、原因は「相続」、日付はAが死亡した日になります。
※2 相続人
相続人であるBの住所と氏名を記載します。
また、Bの氏名の前に「被代位者」と入れることが一般的です。
※3 代位者
代位登記では、登記を申請する人が代位者である旨と、代位者の住所・氏名、代位の理由(代位原因)を申請書に書く必要があります。
司法書士に依頼せず、C本人が法務局に行く場合には、Cの氏名の横に印鑑(認印可)を押し、連絡先の電話番号を記載します。
※4 代位原因
事例では、Cは、Aの不動産に設定した抵当権を根拠として代位登記を申請しています。
この場合の代位原因は、「年月日設定の抵当権の実行による競売」と記載します(下の表のエ)。
代位原因の書き方はある程度決まっており、例えば次のようなものがあります。
代位原因 | 例 | |
ア | 年月日金銭消費貸借の強制執行 | BはAから不動産を買ったが、登記手続きを放置している。 Bに対してお金を貸しているCが代位者となり、Aと一緒に、AからBへの売買による所有権移転登記を申請する場合 |
イ | 年月日売買の所有権移転登記請求権 | AからB、BからCへと不動産が売買されたが、Bが登記手続きに協力せず、登記名義人がAのままになっている。 Cが代位者となり、Aと一緒に、AからBへの売買による所有権移転登記を申請する場合 |
ウ | 年月日設定の抵当権設定登記請求権 | BはAから不動産を購入するため、Cからお金を借りた。 CはBとの間で、Bが購入した不動産を担保とする抵当権設定契約を交わした。 Bが所有権移転登記手続きをしないため、Cが代位者となり、Aと一緒に、AからBへの売買による所有権移転登記を申請する場合 |
エ | 年月日設定の抵当権の実行による競売 | A名義の不動産について、Cを抵当権者とする抵当権が設定されている。 Aが死亡したが、相続人Bが相続登記の手続きを放置している。 Cが裁判所に対して抵当権の実行の申立てをして受理された。 Cが代位者となり、AからBへの相続による所有権移転登記を申請する場合 |
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※5 課税価格、登録免許税
登録免許税の税率は、通常の相続登記の場合と同じく、(課税価格)×(0.4%)です。
必要書類
代位登記においては、登記原因と代位原因の2つの原因があり、それぞれについて、その存在を証明する情報を添付する必要があります。
登記原因証明情報は、なぜその登記を申請するのか、その理由を証明する書類です。
事例の相続登記の場合には、主に次の書類が登記原因証明情報となります。
- Aの出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍謄本
- Aの死亡時の住所が記載された住民票除票または戸籍附票
- Bの戸籍謄本(抄本)
代位原因証明情報は、代位者が被代位者に対し債権を持っていることを証明する書類です。
官公署や公証役場が作成した書類に限られず、被保全権利が存在すると確認できる内容であれば問題ありません。
代表的なものとしては以下の書類が挙げられます。
代位原因 | 代位原因証明情報 | |
ア | 年月日金銭消費貸借の強制執行 | 金銭消費貸借契約書 |
イ | 年月日売買の所有権移転登記請求権 | 売買契約書 |
ウ | 年月日設定の抵当権設定登記請求権 | 抵当権設定契約書 |
エ | 年月日設定の抵当権の実行による競売 | 競売申立受理証明書 |
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なお、一つの書類だけでは債権が存在するかどうかが判断できない場合には、他に被保全権利が確認できる情報を併せて提出する必要があります。
代位登記にかかる費用
申請人が相続人であっても代位者であっても、相続登記の登録免許税は変わりません。
ただし、司法書士の報酬については、通常の法定相続の場合よりも加算する事務所もあるかと思います。
関連記事:相続登記の費用はいくらくらい?必要経費と報酬の相場について解説
この記事の執筆者
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東京司法書士会所属 登録番号7208号
東京都行政書士会所属 登録番号第19082417号
司法書士法人リーガル・ソリューション 代表司法書士
行政書士事務所リーガル・ソリューション 代表行政書士
前職の不動産仲介営業マン時代に司法書士試験合格。
都内の司法書士法人に転職し経験を積んだ後、司法書士法人リーガル・ソリューションを設立、同社代表社員就任。
開業以来、遺産相続、不動産登記手続き、不動産に関する紛争の解決(立ち退き、賃貸トラブル、共有物分割請求、時効取得等)に特化。
保有資格は、司法書士、行政書士、宅地建物取引士、マンション管理士、管理業務主任者、競売不動産取扱主任者。
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