~競売物件購入申し込み手続きについて~

~競売物件購入申し込み手続きについて~

競売物件の売却方法としては、入札(期間入札、期日入札)、競り売り、特別売却があります。
東京地方裁判所では、1回の売却実施命令で期間入札と同時に、期間入札において適法な買受けの申出がないときは特別売却を実施するこになっており、期間入札と特別売却を1つのサイクルとしています。上記の方法で売却することができないときは、売却基準価額の見直しをし、もう一度同じように期間入札と特別売却を1つのサイクルとして実施します。特別売却の期間は、3か月と規定されていますが、東京地方裁判所では、1週間程度となります。

以下、期間入札とい特別売却を前提として説明します。

① 内覧制度

1.買受希望者の内覧制度の新設

従前、競売物件の買受希望者が競売物件の内部に立ち入っ内部を自由に見学することはできませんでした(買受けの申出をした差押債権者のための保全処分で申立債権者保管の保全処分がされた場合には可能だった)。しかし、平成16年4月1日施行の民法等の一部改正により、不動産の買受希望者が、売却実施までに、競売不動産に立ち入って見学することができる、買受希望者の内覧制度が新設された。

2.内覧の申出

内覧は、不動産をより高額で売却するために有益な手続である反面、トラブルの発生等により売却価額を低下させる可能性もあり、内覧実施には一定の費用もかかることから、その実施を高額での売却に最も利害関係を有する ”差押債権者の意思” に委ねることとされ、内覧の実施には ”差押債権者の申立” があることが必要とされました。
差押債権者(配当要求終期後に競売の申立てをした差押債権者を除く)による内覧の申立は、各回の売却の実施ごとに、裁判所書記官の執行官に対する売却実施処分の時までにする必要があります。
→ 期間入札の方法による売却実施処分と同時に期間入札において買受けの申出がなかったことを条件とする特別売却の方法による売却実施処分を発する場合は、両者の方法による売却実施を合わせて1回の売却実施と解されます。
不動産の占有者が差押債権者、仮差押債権者及び売却により消滅する抵当権者等に対抗することができる権原を有する場合(買受人の引受けとなる占有権原を有する占有者がいる場合)は、当該占有者の同意がないと内覧実施命令を発することができませんが、申立人である差押債権者としては、物件明細書、現況調査報告書等の事件記録において占有者に対抗権原があることが明らかにされていない限り、占有者に対抗権原がないことを立証する必要ありません。

3.内覧実施の公告・通知等

執行官は、内覧実施命令があったときは、遅滞なく、内覧への参加の申出をすべき期間及び内覧を実施する日時を定め、これらの事項及び不動産の表示(不動産の一部の内覧の場合は、内覧を実施する部分の表示を含む)を公告し、不動産の占有者に対して、内覧を実施する日時を通知しなければなりません。執行官は、申立人である差押債権者に対しても、同様の通知をします。

4.内覧参加申出期間・内覧参加の申出

内覧参加申出期間は、その終期が物件明細書、現況調査報告書及び評価書の内容が公開されてから相当の期間が経過した後になるようにしなければならないよされています。物件明細書等の3点セットの内容を公開した日から売却を実施する日(入札期間の場合は入札期間開始日)までの期間が限られていること(売却実施の日の1週間前までに物件明細書等の内容を公開。東京地方裁判所執行部は入札開始日の2週間前から公開)に照らすと、通常、申出期間は3点セット公開の日から ”5日” 程度あれば相当であると解されています。
内覧への参加申出は、内覧の対象となる不動産を特定するに足りる事項並びに当該不動産に立ち入る者の氏名(法人の場合、従業員等の関係者の氏名)、住所及び電話番号を記載した書面により、内覧参加申出期間内に執行官に対して行います。不動産に立ち入る者の数は、原則として、参加申立人1名につき1名ずつです。
なお、参加申出人が不動産を買い受ける資格または能力を有さない場合、参加申出人が売却の適正な実施を妨げる行為をした場合、参加申出人がその競売手続において代金の納付をしなかった場合など、一定の者は、内覧に参加することはできません。

5.内覧の実施

内覧実施の命令を受けた執行官は、売却実施の時までに内覧への参加申出をした者のために、内覧を実施しなければならず、内覧実施に際し、自ら不動産に立ち入り、かつ、内覧参加者を不動産に立ち入らせることができます。正当な理由なく立入りを妨げる行為等をした不動産の占有者に対しては刑罰が科されますが、執行官が威力を用いて不動産の占有者の抵抗を排除することはできません。
また、執行官は、内覧の円滑な実施を妨げる行為をする内覧参加者に対しては、不動産に立ち入ることを制限し、または不動産から退去させることができ、この場合には、威力を用いて内覧参加者を退去させることができます。

6.占有者が存在しない場合及び執行官保管の保全処分の執行がされた不動産に対する内覧実施並びに内覧実施命令の取り消し

上記5のとおり、執行官は、内覧対象物件の立入りに関しては、強制力を行使することはできないので、強制的に解錠等をして立ち入ることはできません。
そのため、占有者が存在せず、所有者と連絡がとれない場合や、空き家でその占有者の所在が判明しない場合などは、それらの者の協力を得られない限り、内覧を実施することはできないものとなります。
執行官保管の保全処分が執行された不動産については、内覧が実施することができます。
内覧実施命令の取り消しについては、執行裁判所が内覧の円滑な実施が困難であることが明らかであるときに職権によって行われます。執行官からの内覧実施困難通知書等の情報を端緒として判断がされ、内覧希望者その他の関係者が内覧不動産に多数殺到し、内覧の円滑な実施ができないと認められるような場合も、取消しの要件となっていると考えられています。

② 買受申出の手続 -期間入札-

1.入札期間等の公告・公示 -売却物件に関する情報の公開-

競売物件の売却条件が決まると、裁判所書記官は入札期間(東京地裁では原則として8日間)、開札期日(東京地裁では原則として入札期間満了の日から1週間後)、売却決定期日(東京地裁では原則として開札期日から1週間以内の日)を指定し、利害関係人に対して入札期間等の通知を行います。
そして、入札期間等の公告を裁判所の掲示板等に掲示し(東京地裁では入札期間開始日の2週間前まで掲示)、その公告の写しを各競売物件の3点セットとともに、閲覧に供します(東京地裁では入札開始日の2週間前から)。これにより、各競売物件の売却実施の方法が買受希望者にわかることになります。
買受希望者の閲覧に供するため、売却する物件ごとに、物件明細書、現況調査報告書、評価書の各写し(3点セット)等を編綴したファイルを入札期間開始の1週間以上前から(東京地裁では入札2週間前から)、物件明細書等閲覧室に備置くばどしてのそ 内容を公開しています。
→ 3点セット等はインターネット等で一般に公開する方法も認められています。
※ 競売物件の購入手続きは、3点セットの内容を確認してから!

2.入札手続

入札する際の入札金額は、裁判所が定めた物件についての売却基礎価格の8割に相当する価額(買受可能価額)以上でなければなりません。そして、有効な入札の中で、最高価の入札金額で入札した者が最高価買受人になり、最終的に買受人となります。
ただし、買受人となれる差押債権者が、配当等がないとして無剰余の通知を受けたのに対して、買受けの申出をしてそれに相当する保証金を積んでいる場合は、その保証金を超える金額で入札をしないと最高価買受申出人にはなれません。
期間入札における買受の申出の入札手続は、入札期間内(東京地裁では原則として8日間)に行う必要があり、入札手続は、執行裁判所の執行官室で行われます。
入札手続は郵送等によってもすることができ、この場合には、 ”書留郵便等” で行う必要があります。入札期間は最終日の執行時間までとしている庁が多く、少なくとも最終日の執行時間中に執行官室に郵便等が届いていないと入札が無効になる可能性があります。郵送等による入札となりますと、執行官室の窓口で入札手続を行う場合と異なり、間違いの訂正はすることができないものとなっていますので、できる限り執行官室の窓口での入札の手続をオススメします。

~入札の際に提出するもの~

①入札書に(日付、事件番号、物件番号、入札する人の住所・氏名、入札価額、保証提供の方法、保証の額等)必要事項を記入して押印し、必要事項を記入した封筒に入れて封をしたもの
→ 入札書に記入漏れや記載間違いがある場合、入札が無効となる可能性があるため、手続前にもう一度確認する必要があります。
→ 入札書に記載する住所は、添付する住民票または法人の資格証明書のとおりに記載する必要があり、買受人になり、所有権移転登記をする際に、住民票または資格証明書と異なっている場合には、所有権移転登記をすることができない可能性があります。

②保証金の振込証明書(保管金受入手続添付書。執行官室で入札書と共に交付を受けた払込用紙に基づいて裁判所の口座に振り込んだ際に金融機関から交付される「保管金受入手続添付書」(裁判所て提出用)と「振込金(兼手数料)受取書」(依頼人保管用)のうちの「保管金受入手続添付書」)を添付して必要事項を記入した ”入札保証金振込証明書”
または、保証金の提供を支払保証委託契約締結証明書の提出によって行った場合は、保管金受入手続添付書の代わりに ”支払保証委託契約締結証明書”

③個人 → 住民票  法人 → 法務局発行の資格証明書

④その他
不動産が農地の場合 → 農業委員会等の発行する ”買受適格証明書”
共同入札の場合   → 共同入札許可証  ※
代理人のよる場合  → 委任状等の代理権を証する文書

※ 共同入札とは、複数の者が共同で入札手続をする場合のこと。執行官の許可を受ける必要があります。
例)夫婦、親子のような親族関係、売却の目的物である私道の共同利用者、売却の目的たる土地の共同賃借人 等

3.保証金の納付

入札の手続をする際には、原則として売却基準価額の2割の買受申出保証金を納付しなければなりません。この保証金は、通常、売却基準価額の2割とされていますが、それ以上の金額を定めることもあるため、入札しようとする物件の保証金の額は、確認する必要があります。
→ 定められた金額に満たない金額しか保証金として入金がない場合は、入札が無効になってしまいます。

<保証の提供方法>

①執行裁判所の預金口座の金融機関から振込み、その旨の金融機関の証明書を執行官に提出する方法
→ 入札期間内に口座に入金されないと入金が無効となる。
②銀行等の金融機関との間で支払保証委託契約を締結したうえ、これを証する文書(支払保証委託契約締結証明書)を執行官室に提出する方法
→ 代金を納付する際には、保証金の分も含め、入札価額全額をい納付する必要があります。

※ 共同入札の場合は、共同入札者全員がそれぞれ保証金全額の提供義務を負い、そのうちの一部の者または全員が保証金全額を提供することにより、保証金全額の提供義務が履行されたことになります。

<保証金の返還>

振込送金の方法により提供された保証金については、執行裁判所が、開札の結果、”最高価買受申出人” 及び ”次順位買受申出人” 以外の者の分を返還することになります。保証金は、入札の際に提出した入札保証金振込証明書に、保証金提供者があらかじめ記載した振込先指定口座に振り込む方法で返還されることになります。
最高価買受申出人及び次順位買受申出人以外の者が提出した支払保証委託契約締結証明書は、開札期日終了後に返還の申出を受け付け、受領書と引き替えに返還することになります。
次順位買受申出人の保証金については、最高価買受申出人が代金の納付をした後に返還されます。
<買受けの申出の取り消しにかかる保証金の返還>
原則として、買受けの申込みである入札を取り消すことはできず、買受人となった後、購入をしない場合に、代金を納付しないときでも、納めた保証金は返還されません。
ただし、買受けの申出をした物件について、買受人に対抗することができない占有者がいる旨の記載があったのに、現実にはその者は買受人に対抗することができる最先の賃借権者であった場合などの、物件の価額に影響するような重要な瑕疵があるときは、以下のとおりの対応です。

①売却決定前
→ 売却不許可の申出
②売却許可決定後
→ 売却許可決定後1週間以内に執行抗告の申出
をそれぞれし、物件の価額に影響するような重要な瑕疵がある旨を主張立証して、
①に対しては、「売却不許可決定」を、
②に対しては、「売却許可決定の取消し」と「売却不許可の決定」を
得ることにより、それぞれ納めた保証金の返還を受けることができます。

③売却許可が確定した後代金納付前
→ 売却許可決定取消の申出をし、物件の価額に影響するような重要な瑕疵がある旨を主張立証することにより、売却許可決定の取消の裁判を受けて、納めた保証金の返還を受けることができます。
④売却許可が確定して代金を納付した後
→ 権利の瑕疵について担保責任を追及することができる可能性があり、その場合、売買契約を解除して、代金の返還を債務者や債権者に対して請求することができる。
※ 上記のような手続を踏み、主張立証することは簡単なことではなく、一般の者が上記手続を行うのは難しため、入札手続をする前に競売対象物件の現状をしっかり把握することが大切です。

4.開札手続

開札期日においては、執行官が、入札の手続がされた入札書の開封を行い、有効な入札のうちから、最高価買受申出人を定め、その氏名または名称及び入札価額を告げ、次順位買受の申出をすることができる入札人がいる場合は、その氏名または名称及び入札価額を告げて次順位買受申出の催告をしたうえで、期日の終了を宣言します。
”次順位買受申出” とは、最高価買受申出人に次いで高額の買受申出をした者が、その申出額が買受可能額を超え、かつ、最高価買受申出人の申出額から買受申出保証の額を控除した額を超える場合に、最高価買受申出人に対する売却許可決定がその代金不納付により効力を失ったときは、自己が買受申出について売却の許可すべき旨の申出をすることをいいます。
開札期日には、出頭する必要はありません。最高価の価額をつけた者は、出頭しなくても、最高価買受申出人となることができます。ただし、次順位買受申出をするには、開札期日にその旨を申し出る必要がありますので、開札期日に出頭しないといけません。

5.売却決定期日

公告等に記載されている売却決定期日に、最高価買受申出人になった者が、買受人に決定される(売却許可決定)ことになります。
その決定に対しては、不服申立として決定のときから1週間以内に執行抗告の申立(売却許可決定に対する執行抗告の申立)をすることができ、その期間を抗告の申立がなく経過するか、抗告の申立があった場合は抗告についての却下または棄却の判決がでて、告知されることにより、売却許可決定が確定し、買受人として確定することになり、代金納付することができます。
→ 競売物件の元の所有者等の利害関係人から執行抗告の申立てがあった場合は、その申立てに対する裁判が確定するまでに数か月かかることもあり、確定するまでは、売却許可決定は確定しません。
また、売却実施終了後(開札期日終了後)から売却決定期日の終了までの間に、執行停止文書が提出された場合、他の事由により売却不許可とする場合を除き、売却決定期日を開くことはできないものとなります。この場合、最終的には、訴訟で解決することになり、訴訟の結果により結論が出されることになりますが、訴訟が終結するまで年単位で期間がかかる可能性もあり、それまで売却決定が留保されることもあります。
→ 最高価買受申出人及び次順位買受申出人は、執行裁判所に対して、買受の申出の取消しをすることができます。

 

-特別売却-

 

特別売却は、入札及び競り売りの方法による売却(公開の競争による売却)を実施しても適法な買受けの申出がなかったときに実施される売却方法であり、その方法は、執行裁判所の事由裁量で決定されますが、通常、先着順で、最初に売却基準価額の8割に相当する買受可能価額以上の買受けの申出をした者を買受人としています。
東京地方裁判所では、1回の売却実施処分で期間入札と同時に、期間入札において適法な買受けの申出がないときは特別売却を実施しており、期間入札と特別売却を1つのサイクルとして実施しています。期間入札で適法な買受申出人が現れなかった場合は、開札期日の翌日から1週間程度の期間、先着順で買い受けることができます。
買受けの申出は、買受申出保証金を納めてそれを証する書面を添付して(①期間入札と同様に、専用の振込依頼書で裁判所の口座に振り込んで、保管金受入手続添付書を提出するか、②現金または、③裁判所が相当と認める有価証券(裁判所ごとに決まっているが、銀行の自己宛小切手等)を提出する。)、必要事項を記載した特別売却物件買受申込書を執行官室に提出し、法人の場合は資格証明書、個人の場合は住民票等、期間入札と同様の添付書類を添付して(農地の場合は買受適格証明書、共同入札の場合は共同入札許可書、代理人による買受の申出の場合は委任状等の代理権を証する文書等)、行うことになります。
特別売却の場合は、期間入札の場合と違い、最初の売却実施処分及びその公告の中で、売却決定期日を決めていないので、買受の申出があった場合は、執行裁判所が、売却決定期日を定め、その期日に売却の決定をすることになります。

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