~問題となる競売物件~

~問題となる競売物件~

①建物のみの売却ー敷地利用権原

建物の場合は、その敷地利用権原がないとその存続が図れず、敷地所有者から収去を求められれば、その建物を取り壊し、更地にしなければならないことになります。裁判所の競売手続では、建物のみを売却することもあり、その建物に敷地所有者に対して主張できる敷地利用権原がないこともあります。
敷地利用権原については、裁判所の認定を記載した物件明細書の「2 売却により成立する法定地上権の概要」の欄または「5 その他買受けの参考となる事項」の欄に記載されています。

・敷地利用権原が ”法定地上権” の場合
「本件売却対象外の土地(地番○○)につき、本件建物のための法定地上権が成立する。」

・敷地利用権原が ”借地権(賃借権)” の場合
「本件建物のために、その敷地(地番○○倍、地積○○平方メートル、所有者○○)につき借地権が存する。買受人は、地主の承諾又は裁判等を要する。」

とそれぞれ記載されています。
土地賃借権付きの建物の買受人としては、土地賃借権の譲渡を受けたことになり、土地賃借権の譲受けについて借地権設定者(賃貸人)の承諾を得る必要があり、どの承諾が得られない場合は代金納付から2か月以内に賃借権譲渡の借地権設定者の承諾に代わる許可の申立てを裁判所に対してすることができます。

法定地上権付きの建物の買受人は、敷地利用権である法定地上権を敷地所有者に対抗することができます。
土地賃借権付き建物の買受人は、借地権設定者である敷地所有者の承諾または承諾に代わる裁判所の許可があれば、敷地利用権である土地賃借権を敷地所有者に対抗することができます。

※ 敷地の最先順位の抵当権等の設定登記をした当時、更地だった等の理由で、敷地利用権原を敷地の最先順位の抵当権者等に対抗できない場合の物件明細書の記載
・敷地利用権原が法定地上権の場合
「本件売却対象外の土地(地番○○)につき、本件建物のために法定地上権が成立する。上記法定地上権は、土地の平成○年〇月〇日付抵当権設定登記に後れる。」

・敷地利用権原が借地権(賃借権)の場合
「本件建物のために、その敷地(地番○○番、地積○○平方メートル、所有者○○)につき借地権(賃借権)が存する。上記借地権は、土地の平成〇年〇月〇日付抵当権設定登記に後れる。」

とそれぞれ記載されています。
これらの場合、敷地の抵当権等が実行され、その手続で敷地が売却された後、敷地の買受人が現れたときは、上記の敷地利用権原である法定地上権や土地賃借権をその敷地の買受人に対抗することができなくなります。敷地の買受人が「自分で敷地を利用する」などの理由で建物を収去して欲しい旨を言った場合には、建物を収去する必要が出てきます。

その他の敷地利用権原としては、使用借権があります。
使用借権付建物の売却の場合
「本件建物のための、その敷地(地番○○番、所有者○○)につき使用借権が存する。買受人は、敷地利用権の設定を要する。」と記載されています。

使用借権は、敷地所有者が当該建物の所有者のみに使用を許可したものであり、その建物の所有者に変更が生じ、新たな建物所有者となった買受人は、その敷地利用権原を敷地所有者に主張することはできないものとなります。この場合は、敷地所有者の了解を得て、敷地所有者との間で新たな敷地利用権原を設定することが必要となってきます。

② 共有持分のみの売却

不動産の共有は、通常、夫婦や親子等の親密な関係にある者同士の間で成立することが多く、そのような場合であれば、不動産の利用関係で紛争になるケースは少ないと思われます。
しかし、不動産について共有持分しかない者は、基本的に自分で使用するなどの他の共有者が使用することができないような、排他的な使用をすることはできず、自己使用をするためには、共有者全員で協議し、その合意を得る必要があります。共有者間に夫婦や親子などの親密が関係ならともかく、共有者間に特別な関係がない場合は、合意を得ることは困難になると思われます。

また、他の共有者との協議に基づかないで売却対象外共有持分により、現に共有物を占有している売却対象外共有持分権者は、自己の持分の限度で共有権を占有使用する権限があり、共有者の協議に基づかないで売却対象外共有持分権者から使用を承諾された第三者は、その占有を承認した共有者の持分の限度共有権を占有使用する権限があります。共有持分の買受人は、それらの者に対して、当然には共有物の明け渡しを請求することはできません。

債務者が債務の支払いをしないため、判決等に基づいて債務者のものを差押える場合は、債務者の資本といて不動産の共有持分のみを売却することは、大いにあります。

→ 結果として、不動産の共有持分の競売の場合、買受人は、全然関係のないものとして、共有関係の中に入っていくので、当該不動産の使用についてはの合意は困難となり、実際は、利用することができない 物件となってしまう可能性があります。

③売却対象外建物が存在する底地のみの競売

土地とその土地上の建物の所有者が異なるため、土地のみしか担保に取れなかった場合や更地に抵当権を設定した後、その土地上に建物が建築された場合等に、売却対象外の建物が存在する底地のみが競売対象となることがあります。
→ この場合、買受人としては、土地のみを購入しており、その土地上に売却対象外の建物が存在するため、そのままでは、利用することができないものとなります。

土地上の建物が土地利用権がないもの場合でも、その建物を収去するためには、任意の話し合いが必要であり、話し合いがうまくまとまらない場合や取り合ってもらえなかった場合は、訴訟手続を採る必要があり、一般の方が訴訟手続を行うことは困難となりますし、費用と時間もかかってしまいます。
また、土地上の建物に買受人に対抗することができる土地利用権原がある場合には、建物の収去をすることは不可能となり、全く利用することができないものとなってしまいます。

⇒ よって、上記3つにかかる競売についての記載は見落とさないように3点セットをよく読み込む必要があります!

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