遺産分割

遺産分割の基本知識

相続財産の分配の方法としては、大きく分けて、

①民法に規定されている相続分である法定相続分のとおりに分ける
②遺産分割の協議によって分ける
③遺言の内容に従って分ける

の3つのパターンがあります。
もちろん、相続人が1人のときは、相続財産の全てを相続するため、遺産分割の協議をすることは不要となります。
遺言書がない場合には、遺産分割の協議によって相続財産を分配するのが通常の流れです。
そして、相続人が複数名いる場合、相続が発生したら、一旦、被相続人の相続財産は相続人全員の共有財産となります。
根拠として、

民法第898条

相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

とあります。
この共有の状態を相続人の話し合いによって分割方法を決め、解消することを②の遺産分割といいます。

※ 遺産分割をしないで共有のままだと、、

・ 共有の状態の相続財産を処分(売却等)する場合、相続人全員の同意が必要となる。
・ 共有の状態の相続財産を管理(建物・と土地の賃貸借等)する場合、持分の過半数の同意が必要になる。
・ 相続財産によっては、その相続財産から生まれる収益や、相続財産の維持管理のための費用等をどのように清算するかなどをめぐり、相続人間で問題が複雑化していく可能性がある。
・ 相続財産が共有の状態のまま、続けて相続人の一部(たとえば被相続人の子)が亡くなってしまった場合、その共有持分に相当する相続財産がさらに次の世代(孫)への相続の対象となります。そうなると、共有者がどんどん増えてしまい、相続財産の権利関係がとても複雑になる可能性がある。

遺産分割の方法

遺産分割の方法は、

民法第906条

遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

民法第907条第1項

共同相続人は、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。

として、相続人に委ねていて、原則、相続人間の話し合いで分割する方法を決めます。
※ 遺言によって分割する方法が指定されている場合は、これが優先します。
また、相続人間の話し合いで分割する方法が調わないときは、家庭裁判所が間に入った調停・審判となります。
まとめると、
①(遺産分割による)協議分割
②(遺言による)指定分割
③(家庭裁判所による)調停・審判分割 となります。

しかし、以下の点に注意しましょう。

※ 遺産分割の協議ができない場合

・被相続人が遺言で相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産分割を禁止した場合
・共同相続人の全員で5年を超えない期間内は分割しない旨の契約をした場合
・家庭裁判所が期間を定めて相続財産の分割を禁止した場合

遺産分割の方法が決まりますと次に相続財産をどのように分割するかの話になります。
これも3つの方法があります。

方 法 説 明
現物分割 現存する相続財産そのものを相続人間で分ける方法です。これが原則となっています。たとえば、相続財産に不動産と預金がある場合に、相続人Aが不動産を、相続人Bが預金を取得する場合をいいます。
ここには、ある不動産を共同相続人で共有する共有分割も含まれます。
換価分割  相続財産を売却し現金化して、その現金を相続人で分ける方法です。
代償分割  特定の相続人が、相続財産を多く承継する代わりに、その代償として他の相続人に現金を支払って、過不足分を調整する方法です。

※ 遺産分割協議は、相続人の全員の同意により、一度成立した遺産分割協議の全部、または一部を合意によって解除することができ、解除した部分については、改めて遺産分割協議をすることができます。

遺産分割協議の当事者

遺産分割協議に参加しなければならない者は

・法定相続人

→ 配偶者は、内縁を含みません。法律上の婚姻関係にある者です。
→ 相続人に行方不明者がいる場合には、不在者財産管理人が参加します。
→ 相続人の中に未成年者がいる場合には、特別代理人が参加します。 特別代理人とは?
(親権者が先に 相続放棄 した場合には、親権を行使する未成年者1人を代理することはできます。未成年者が2人いるときは、双方の代理はできず、一方は特別代理人を選任します。)

・包括受遺者

包括受遺者とは、遺言者から「相続財産の3分の1を遺贈する」といった包括的な割合で遺贈を受けた者を指します。
→ 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するからです。

・相続分の譲受人

→ 相続人は各自、相続分をもっていて、この相続分は譲渡することができます。相続人に譲渡することはもちろんのこと、第三者にも譲渡することができます。(有償・無償は問わない)

・遺言執行者

→ 遺言執行者がいる場合には、「相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」と民法に規定があり(民法第1013条)、通常は、、遺産分割協議に参加してもらい同意を得た方がよいとされています。

※ 遺産分割協議に参加していない者がいた場合には、遺産分割協議は無効となってしまうので、相続人の調査・確定は重要な作業です。

遺産分割協議の作成方法

遺産分割協議の作成方法については、特段規定はありません。
通常は、相続人の全員で1つの場所に集まり協議(話し合い)をして、1通の書面に相続人の全員が署名・捺印をして作成します。
しかし、相続人が遠隔地に住んでいる、重い病気で動くことができない、などといって1箇所に集まることが難しいこともあります。(もちろん話し合いは電話等を用いて全員で行います。)
このような場合、多くは1つの遺産分割協議書を郵送による持ち回り形式で各相続人が署名・捺印しますが、この形式ですと、相続人の人数が多い場合等は日数がかかりますし、郵送の途中で紛失する可能性もあります。

そこで、実務上では、完全に同じ内容の遺産分割協議書を何通か作成し、各相続人に署名・捺印してもらう形式があります。この何通にもなる遺産分割協議をまとめて1つの遺産分割協議書として扱うことで有効な遺産分割協議書になります。
相続財産の中に不動産がある場合には、遺産分割協議書は 相続登記 でも使用するため、遺産分割協議書の作成にあたって、相続人の全員には、実印と印鑑証明書を準備してもらいましょう。

遺産分割が調わない場合は、、

相続財産の分配については、上記で記載してきたとおり、共同相続人の間の協議(話し合い)が調った場合には、遺産分割協議書が作成され、遺産分割協議書の内容のとおりに相続財産の分配がされます。
しかし、遺産分割協議が共同相続人の間の協議(話し合い)で調わない場合は、家庭裁判所に間に入ってもらい、遺産分割調停または審判の手続を利用することになります。
遺産分割調停・審判の手続について → こちら

遺産分割協議が成立したら?

民法第909条

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

上記の民法第909条にあるように、遺産分割協議が成立すると、遺産分割は、 ”相続の開始にさかのぼって” 効力を生じます。
いわゆる「遡及効」です。
遡及効については、
相続が生じますと、相続財産は、共同相続人の共有状態になります。
遺産分割により相続財産の分配方法を決めることで、この共有状態を解消して、
共同相続人は、相続開始の時から分配方法で決められた相続財産を単独で相続していたものとなります。
例えば、
被相続人Aが所有していた建物を、遺産分割によって、共同相続人のうちのBが、相続開始の時から単独で相続していたものとなります。

ここで問題となるのが、上記条文中の ”第三者の権利を害することはできない” の部分です。
遺産分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じますが、遺産分割の協議が成立するまでの間は、相続財産は共有状態にあり、共同相続人は自己の法定相続分を自由に処分することができます。
よって、遺産分割前に相続人が自己の法定相続分について売却等の処分行為をしてしまうと、利害関係人となる第三者が現れる可能性があります。
この ”遺産分割前の第三者” の保護のために民法は、 ”第三者の権利を害することはできない” として遺産分割の遡及効に制限を設けています。
この遺産分割前の第三者については、善意・悪意は問われませんが、 ”対抗要件” は備える必要があります。

なお、遺産分割によって自己の法定相続分を超える権利を取得した相続人と、遺産分割後に権利を取得した第三者についての関係は、上記の条文ではなく、
”対抗問題” として取り扱われて優劣がつきます。

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