不動産に関する公法上の規則について

不動産に関する公法上の規則について

競売対象不動産を ”どのように” 使用することができるかについての関心は、買受希望者が自分で使用するつもりであれば当然だと思いますが、転売を目的として購入する不動産転売業者でも最終需要者を念頭に置いているため、とてもあると思います。
不動産については、都市計画法、建築基準法等の法律による公法上の規制があり、その規制により、競売対象不動産をどのように利用することができるかが決定するので、その競売対象不動産に対する公法上の規制についても知っておく必要があります。
なお、競売対象不動産の都市計画法、建築基準法等の公法上の規制については、上記で説明した評価書の中に記載があります。

 

① 市街化区域・用途地域等

市街化区域とは、都市計画法に基づく都市計画区域にうち、すでに市街地を形成している区域及び概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として定められた区域のことをいいます。
市街化区域については、用途地域が定められていて、各用途地域ごとに建てられる建築物が定められています。
たとえば
第1種・第2種低層住居専用地域では、建築物の高さは10mまたは12m以下でなければならず、普通の住居用の住宅等の建築物以外では、学校や図書館等の公共の施設や小さな店舗以外の建築物を建てることはできません。
第1種・第2種中高層住居専用地域では、低層住居専用地域のような建築物の絶対高の制限はなく、低層住居専用地域より大きい店舗の建築ができます。
工業専用地域では、普通のの住居用の住宅等の建築物は建てられない。
というような制限があります。
そして、各用途地域ごとに、容積率(建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合)の最高限度、建ぺい率(建築物の建築面積の敷地面積に対する割合)の最高限度などが定められています。
ただし、その定められた数値については、前面道路などとの関係で変わってくることもあり、また、計算の対象となる面積の算入されない部分もあり、具体的な部分は、市区町村役場等の担当部署で確認する必要があります。

 

② 接道義務

建築物の敷地は、建築基準法上の道路に連続して2m以上接していなければならず、また、その建築基準法上の道路は、原則として4m以上の幅員のものでなければならないとされています。
したがって、競売対象土地が、 ”原則として4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接していないと、その土地に建築物を建築することができない” ということになりますので、注意が必要です。
競売対象土地の接道状況については、評価書に記載がありますので、買受希望者として、それらの資料を確認する必要があります。
建築物を建築することを目的して競売対象土地を購入しようとしている人にとっては、競売対象土地に建築物を建築することができないということは、土地利用上の大きな負担となり、購入の目的を達することができないということになります。

≪接道義務の具体例≫

 

③ 市街化調整区域

市街化調整区域とは、都市計画に基づく都市計画区域のうち、市街化を抑制すべき区域として定められた区域です。
市街化調整区域では、農林漁業用の建築物や一定規模以上の計画的開発等を除き開発行為は許されず、原則として用途地域を定めないものとされ、市街化を促進する都市施設は認められず、原則として都市計画事業を施行しないとされています。つまり、市街化調整区域の土地については、農林漁業用の建築物以外の一般の建築物のい建築はすることはできず、他の区域に比べて土地の利用方法は大きく制限され、一般の人が住宅を建てて住むことができないため、購入目的を達成することができないことがあります。
競売対象土地が市街化調整区域の土地であるかどうかについては、評価書に記載がありますので、買受希望者として、それらの資料を確認する必要があります。

 

④農地等

農地や採草放牧地については、所有権の移転・賃借権その他の使用収益権の設定・移転には、農業委員会等の許可が必要であり、買受人等の権利取得者は、原則として農地の耕作や養畜に従事することができる者以外は、許可を得ることができません。
→ 農地を農地以外のものにしようとする場合は、原則として、都道府県知事等の許可を受けなければなりません。
→ 農用地区域内にある農地を農地以外のものにする場合等は、原則として許可をすることができません。
また、農地や採草放牧地について、農地や採草放牧地以外の用途に使用する目的で、所有権移転・賃借権その他の使用収益権の設定・移転をする場合にも、都道府県知事等の許可が必要であり、農用地区域内にある農地や採草放牧地をそれら以外のものにする場合等は、原則として許可をすることができません。
上記のように農地については、権利移転や農地以外のものへの転用について制限や農地を取得する者に制限があるため、裁判所の競売で売却する場合に、買受希望者が買受の申出をするには、農地を取得することができる者であることを示す、農業委員会等の発行する「買受適格証明書」を添付する必要があります。
なお、市街化区域内の農地については、買受の申出をするには「買受適格証明書」を添付する必要がありますが、市街化区域内の農地は誰でも農地以外に転用することができ、誰でも転用を理由に「買受適格証明書」の交付を受けることができます。

 

⑤ 違法建築物および既存不適合建築物

不動産の競売対象となる不動産には、不動産に関する公法上の規則に適合するものだけではなく、適合しない不動産、例えば、違法な増改築等によりその地域の容積率、建ぺい率を超過する建物や接道義務を満たさない建物などの違法建築物があります。
このような違法建築物については、行政官庁から違反是正命令が出されたり、場合によっては、代執行により、違法建築物が収去されてしまう可能性もありますので、注意が必要となります。
また、建築基準法の適用前からあった建築物で、現在の建築基準法の規定に適用しない既存不適格建築物もあり、建築基準法の規定は適用されません。しかし、建築物の増改築等については、一定の制限があり、一定の場合には是正措置を命じられることがあります。
上記の違法建築物や既存不適格建築物に関する情報は、評価書にその内容が記載されていると思われます。このような違法建築物や既存不適格建築物についての措置は、行政官庁の担当部署の認識次第となりますので、買受希望の競売物件について、上記の点が疑われる場合は、市区町村役場の担当部署によって扱いが異なる可能性がありますので、事前に確認をしておく必要があります。

 

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